急成長を続けるドラッグストアが、小売業をガラリと変えつつある。強力なバイイングパワーを生かし、いずれは製薬会社の買収も――。「虎の尾を踏んだのは誰だ」――。 日本最大の小売業、セブン-イレブン・ジャパンが九月三日から実施した一部飲料商品の値下げが大きな波紋を呼んでいる。同社の鈴木敏文会長は日頃から「消費者は低価格だけではついてこない」と強調してきた。それがまさかの値下げ断行。セブン-イレブンは、なぜさらなる価格競争に打って出たのか。 利益面ですでに水をあけられているローソンやファミリーマートが、この上また利益を削るような自爆的販促に乗り出すとは考えにくい。実際、セブン-イレブンが百四十七円で販売していたお茶などの人気七商品を二十二円値下げしたところ、同業他社は大慌てだった。追随値下げを余儀なくされるコンビニエンスストアが相次いでおり、彼らが値下げ競争を仕掛けようと先手を打って動いていたとは考えにくい。 実は、セブン-イレブンを刺激した“真犯人”はドラッグストアだと流通業界関係者たちは指摘する。この夏、都心部や市街地ではコンビニで弁当や惣菜類を購入し、その足で近くのドラッグストアに向かう若い女性たちの姿が多く見られた。昼休みの彼女たちがドラッグストアで買うのは薬や化粧品でなく、一本百円前後のペットボトルのお茶だ。

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