ハリケーンだけが理由ではない。ノースウエスト、デルタなど航空会社から、自動車部品大手デルファイまで、破綻懸念企業が目白押しだ。[ニューヨーク発]アメリカでいま、今年後半の景気の明暗を分ける可能性がある、ひとつのスケジュールに注目が集まっている。十月十七日。去る四月に四半世紀ぶりの改正がなされた連邦破産法が、いよいよこの日に本格施行を迎えるのだ。日本の会社更生法にあたる同法一一条(チャプター・イレブン)も装いを新たにして生まれ変わる。 バブルの懸念すら語られて久しい住宅市場と好調な個人消費、そして証券大手などの業績を押し上げる活発なM&A(企業の合併・買収)といった要素に支えられ、米景気はこれまで底堅く推移してきた。大型ハリケーン「カトリーナ」による経済損失は米同時テロの一千億ドルを超え最大二千億ドルとも試算されるが、一部では「復旧需要で住宅市場がさらに盛り上がる」との強気論すら聞こえてくる状況だ。 ただし、それはあくまでも金融セクターから経済を眺めた場合の話。ひとたび他の分野に目を転じれば、そこにはまったく別の風景が広がっている。「ノースウエストとデルタが、いよいよチャプター・イレブンの適用申請を本格検討」――。原油価格高騰の折からハリケーンに追い打ちをかけられ、精油所を破壊されたアメリカでジェット燃料の値上がりに拍車がかかるのは間違いない。かねて経営悪化が明らかなこの航空大手二社が、十月十七日の前に駆け込み的に破産法の適用申請に動くかもしれないと米メディアは睨んでいる。

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