イラン核問題交渉は合意に至らず

執筆者:池内恵2013年11月10日

 イラン核問題交渉は、ジュネーブで主要大国の外相を急遽招集して、予定の11月7・8日を延長して、9日深夜・10日未明まで交渉を続けたものの、結局今回は合意に至らなかった。合意されたのは次回の日程と場所だけである。11月20-21日に協議を再開。再びジュネーブで行う。ただし局長級で、ということになった。

 各国外相は前向きの成果強調する。アフマディネジャード前大統領の時代とは全く異なる雰囲気と方向性で交渉が行われており、信頼醸成のための第一段階の合意が見えてきたことは確かである。

イランの「意志」をどう見るか

 イラン核問題の争点は、結局イランの「意志」をどれだけ欧米諸国が信頼できるかにかかっている。信頼できるとみなすためにどのような措置が必要なのか、平和的な核開発を不可侵の権利と主張するイランがどのような措置なら呑めるのか。それと欧米側の経済制裁の解除の程度の組み合わせが、交渉の争点となる。しかしイランの核開発を国家存立への脅威と認識するイスラエルの強硬姿勢や、各国の入り乱れるイラン権益への思惑が絡み、イランと米国内部のそれぞれの強硬派が共鳴して、合意の前に立ちはだかる。

 今回の米とイランの双方が合意のために提示した譲歩は、イランが濃縮度20%(中濃度)のウラン製造を少なくとも6カ月にわたって停止(凍結)するのに対して、欧米側が在外資産の凍結を一部解除するというもののようだ。

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