ミャンマーの英字週刊紙「ミャンマー・タイムズ」が軍事政権からの買収圧力にさらされている。同紙はオーストラリア出身のロス・ダンクレー社主が二〇〇〇年に創刊。「ミャンマー初の本格的な独立系経済専門紙」の触れ込みだったが、当時のキン・ニュン首相が支配する国防省情報総局(MI)の息がかかった「影の国営紙」とも揶揄され、キン・ニュン人脈が同社経営陣に名を連ねていた。 だが、昨年十月の首相の逮捕・解任後、これに連座する形で同社のソニー・スエ副社主らが不正蓄財などの罪で投獄され、現在は同副社主の夫人らが経営に参画している。 一方、関係者によると、軍政当局は同副社主らキン・ニュン氏に近かった経営陣が保有する同社の五一%の株式すべてを、当局が推薦した元医師を中心とする別の株主グループに譲渡するよう要求。ダンクレー社主を含む前首相人脈を一掃し、経営権を完全に掌握する狙いがあるとみられている。 キン・ニュン氏失脚から一年が経過してもなお、キン・ニュン一派排除の手を緩めぬ軍政指導部の真意はつかめない。だが、電力不足で停電に慣れっこのヤンゴン市民の間では、「高圧線に触れても感電しないが、メディアに触れたらお陀仏」というジョークが囁かれている。

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