ケース・スタディ1  神田うの夫妻

執筆者:藤沢数希2013年11月23日

 最初に述べておくと、筆者は芸能人のゴシップ話などに興味があるタイプではない。また、他人の恋愛や家庭に、こうあるべきだなどと口出しするようなタイプでもない。筆者は、基本的には個人主義、自由主義の考えを持っており、恋愛や家庭の問題などは他人がどうこう言うべきではないし、他人に迷惑をかけず法律を守っているならば、本人たちのやりたいようにやればいいと思っている。

 しかし、国家権力が介入する結婚制度がどのように機能し、その強制力によって、夫婦間でどのような金銭の支払い義務が生じるのかは、法律と経済の問題として強い関心を持っている。多くの報道がなされる芸能人、著名人夫婦の離婚騒動は、実際に結婚と離婚の法律がどう動くのかを理解するためのケース・スタディの材料を提供しており、その点において本連載『結婚と離婚の経済学』で分析するべき対象だと思われる。


 それでは最初のケース・スタディとして、週刊文春11月21日号で離婚騒動が報じられ、メディアで多少は話題になっていた、タレントであり実業家の神田うのさんと大手パチンコ・チェーン日拓グループの経営者である西村拓郎氏が離婚に至った場合を考えてみたい。

 まず断っておくが、筆者は何ら個人的に取材をしたわけでも、報道されている以上の情報を持っているわけでもない。また、ことさら男女の問題に立ち入るつもりもなければ興味もない。最初に述べたように、金融商品としての結婚の意味を考えるのが主旨である。そして、有名人の離婚に関しては、公開情報と報道内容だけから、これまでに本連載で学んだ知識を用いれば、多くの場合、驚くほど多くのことが見えてくるのである。

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