「ミリオネアー」「アイドル」「ビッグ・ブラザー」「アプレンティス(徒弟)」――。米国など世界各地でヒットしているテレビ番組は、英国を中心に欧州各国から始まったものが多い。 昨年、米国のゴールデンタイムで視聴率トップだったのは、素人が歌手デビューを目指して勝ち上がっていくオーディション番組「アメリカン・アイドル」だった。この番組は実は、英国の制作会社フリーマントルメディアがビジネスにしたものだ。オリジナルは二〇〇一年に英国で始まった「ポップ・アイドル」なのだが、米国でのヒットを機に、欧州からインド、シンガポールまでアジアを加えた三十カ国以上に広がっている。 フリーマントル社や「ビッグ・ブラザー」で知られるオランダのエンデモルなど欧州のテレビ制作会社は、番組そのものを輸出するのではなく、「フォーマット」という形で番組のコンセプト、アイデアや構成、進行のノウハウ、セットのデザインなどの「使用権」を売ることで成長している。購入したテレビ局や制作会社はこれを元に、その国の視聴者にあった形にアレンジしていく。 フォーマット番組はドラマではなく、クイズ、コンテストが中心だが、出演者たちのナマの実態を見せる「リアリティ(現実)・ショー」にして、視聴者を惹きつける。「アイドル」はかつての日本の「スター誕生!」に相当するが、出演者の舞台裏での努力や駆け引き、会場での意地悪い審査員とのやり取りまでもショーにしてしまう。

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