サッカー元日本代表監督で、中国のプロサッカーリーグ「杭州緑城」の監督を務めていた岡田武史氏が、今季限りで辞任することを表明した。16チーム中、1年目は11位、2年目は12位という、まったく冴えない成績に終わった理由について、中国側の問題が大きかったとして、岡田氏に対しては基本的に同情論に傾いた分析がなされていることに、少々違和感がある。

 中国のメディアや中国版ツイッター「微博」などで岡田氏のサッカーに対する真摯な態度を評価する声が多く上がっているのは事実である。しかし、それはあくまでも中国サッカー界の現状に対する不満の裏返しに過ぎない。岡田氏の杭州緑城でのゲーム采配やチーム運営を正確にウオッチしてなされたものではない。

 中国のサッカー人気は日本におけるプロ野球人気を超えるものがある。その期待の大きさに全く応えられない代表チーム、相次ぐ八百長事件に揺れるプロサッカーリーグ、人気に甘えて努力しない選手たちなど、問題はあまりにも山積しており、サッカー好きと言われる習近平国家主席が就任してハッパをかけた後も中国サッカーは低迷から抜け切れていないため、中国人はどんな問題に引っ掛けてでも、中国サッカーの悪口を言ってみたい気分なのである。

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