イランのアフマディネジャード政権が「改革派」と目される西欧各国駐在の大使を次々に解任している模様だ。これまでに解任ないし左遷されたとみられるイランの大使は約二十人。この中には駐英、駐仏、駐独、ジュネーブ国連代表部の大使が含まれている。 いずれもハタミ前大統領の支持者で「改革派」と色分けされる上、イランの核開発計画に関する欧州各国との交渉に直接携わっていたといわれる。 アフマディネジャード大統領の側近は一連の外交官人事について、「一九七九年のイラン革命以来最大の“粛清”」と指摘。今後も世界各地に駐在する「改革派」外交官の追放を行なう考えを示唆しており、実際、近くマレーシアやアラブ数カ国のイラン大使に帰国命令が出されるとの情報も流れている。 一連の“粛清”における最大の犠牲者は駐英大使だったモハマド・ホセイン・アデリ氏。米国で長年教育を受けた同氏は、イラン革命以後欧米に派遣されたイラン外交官の中で最も英語が堪能で西欧的価値を理解できる人物と目されていた。 にもかかわらず駐英大使職は在任一年足らずで解任。ロンドンの外交関係者は「イランと欧米との関係を修復する上で決定的なマイナスになるのは疑いない」と危惧している。

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