「このままでは二位一体改革だ」 十月三十一日に行なわれた内閣改造で「改革続行」を宣言した小泉純一郎首相の姿を横目に、ある閣僚経験者はそう懸念を口にした。 地方自治体の行財政を自立させ「小さな政府」の実現を狙う三位一体改革は、二〇〇六年度予算編成で最終年を迎える。国が使途を指定して地方に渡す国庫支出金を減らし、中央官庁が管理していた税源を地方に移譲して地方財政の裁量権を高める「二位」はかまびすしい論争を経て実行されつつあるが、唯一手つかずなのが地方交付税の抑制だ。 自治体の自前の財源は住民税や固定資産税、企業などの事業税などからなる地方税だが、これだけでは歳出全体の四割にも満たない。不足分は国庫支出金や地方交付税で、さらには借金である地方債の発行などで補っているのが実情だ。 中でも、地方交付税は「便利」な制度である。使途が指定されていないうえ、総務省が全国の自治体の歳入・歳出を項目別に合算して見積もった地方財政計画に基づき、たとえ自治体が努力しなくとも歳入の不足分が交付税として自動補填されるためだ。〇五年度の地方交付税は十四・六兆円。国の一般会計(同年度は八十二・二兆円)のうち、社会保障関係費(二十・四兆円)、国債費(十八・四兆円)に次ぐ支出項目として、税収が歳出の半分しかない国の財政を強く圧迫してきたにもかかわらず、その仕組みは長い間ブラックボックスとされてきた。地財計画の存在が明らかになったのは、なんと三年ほど前にすぎない。

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