岩手が先導する初めての「官の効率化」

執筆者:水木楊2005年12月号

 岩手県が全国の都道府県で初めてトヨタ自動車の「カイゼン方式」を採用、行政の効率化に取り組んでいる。民間の、しかも生産現場で採用されている「カイゼン」を、官庁の事務部門でどのように応用するというのか。早速晩秋の盛岡に入り、県庁を訪れた。 岩手版「カイゼン」=IMS(いわてマネジメントシステム)を説明してくれたのは、総務部人事課組織改革担当主査の星野俊一氏(四〇)である。発足時からIMSに関わっていると言う。「これまで商工企画課とか教育課などにいたが、正直言ってあまり面白くなかった。いまは大変面白い」と語るだけに、はちきれんばかりの意気込みが伝わってくる。 岩手県が増田寛也知事のイニシアチブで「行政品質向上運動」に取り組んだのは一九九八年のこと。「職員一人ひとりが県民の視点に立って、県民のためにより良いサービス(価値)を提供するとは何かを考え、行政本位の仕事の仕組みや進め方を『行革』『改善』していく」という定義を下したが、みな頭では趣旨を理解したものの、いざとなると何をどうしたらいいのか具体的な手法が見つからず、考えあぐねるという期間が続いた。「行政には、ムダを省くという、民間企業にあるDNAがなかった」と星野氏は振り返る。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。