日本を「カトリーナ」が襲う日

執筆者:リチャード・カー2005年12月号

海水温の上昇によって熱帯性低気圧が“激化”している兆候が確認された。このままでは台風やハリケーンの被害も大きくなってしまう。[ワシントン発]八月にハリケーン「カトリーナ」が米ニューオーリンズに壊滅的な打撃を与えた後、日本の九州と中国、四国地方に台風十四号が襲来。続いてハリケーン「リタ」が米ルイジアナ州西部などに被害をもたらし、さらには台風ダムレイが中国海南島とベトナムを襲い、ベトナムでは沿岸部の住民三十万人が避難する事態となった。その後、ハリケーン「ウィルマ」がメキシコ・ユカタン半島経由で米フロリダ州に襲来すると、アメリカではアルファベット順に予め二十一個(QUXYZは使わないため)用意されたハリケーンの名が尽き、カリブ海に新たに誕生した熱帯暴風雨はギリシャ文字で「アルファ」と名付けられる前代未聞の事態となった。 いたるところで熱帯性低気圧(北太平洋西部および南シナ海で発生するものは台風、カリブ海やメキシコ湾地域、北部大西洋で発生するものはハリケーン、インド洋ではサイクロンと呼ばれる)が荒れ狂っているように見える。 気象学者たちの最新の研究で、アジアをはじめ世界各地の熱帯性低気圧は年々巨大化しつつあり、その原因が地球温暖化にあるかもしれないことがわかってきた。

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