安倍総理のアフリカ訪問を前に

執筆者:平野克己2013年12月27日

 2013年はアフリカ情勢の先行きが読みにくい年だった。年末は、白戸圭一さんが詳しく報じてくれた中央アフリカの内戦と南ス-ダンでの紛争勃発で締めくくられた感がある。ソマリア情勢にようやく回復の兆しが見えてきたところで、新たな火種がまたアフリカ大陸に着火した。中央アフリカという「幻影国家」と南スーダンという「バラック国家」、どちらもサブサハラ・アフリカの危うい統治構造を象徴している。両国は隣り合わせだ。中央アフリカは宗教紛争、南スーダンは部族紛争の様相だが、もしかしたら背後に共通する策動があるのかもしれない。アフリカに確固たる自由民主主義国家を築こうとしたネルソン・マンデラの死は、彼の怒りを買うような出来事で葬送された。

 そのアフリカ大陸を、年始早々安倍総理が訪問する。政府のみならず総理に同行する企業も、準備に追われて正月休み返上であろう。訪問国はモザンビーク、コートジボワール、エチオピアの3カ国。当初は南アフリカが訪問先に想定されていたが、調整がつかなかった。南アフリカにおいてはいろいろな案件が動いているので、総理の訪問と元首会談でいっきに勝負をつけたかったところだが、残念である。一方モザンビークには、三井物産や国際石油開発帝石が参画している沖合天然ガス開発、新日鉄住金が参画する石炭開発など大型プロジェクトが複数あり、これから大いに関係を強化していかなくてはならない国だ。またコートジボワールは、西アフリカの物流経済拠点でありながら長く内戦状態にあり、2年前にようやく正統政権がたって再建が急がれている。アフリカにおけるフランス権益の中心地でもある。テロ対策上からも重要な国だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。