「靖国参拝」で顕在化する「オバマ・リスク」
2013年12月29日
12月26日。首相就任2年目の初日に、安倍晋三首相は靖国神社参拝を果たした。中韓両国の反発は想定の範囲内だったろうが、思わぬところから弾丸が飛んできた。米国大使館である。それは日本が直面する最大のリスクを炙り出した。オバマ・リスクである。
首相が参拝したのは午前11時半。それから4時間も経たない午後3時15分に、在日米国大使館は声明を発表した。「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させる(exacerbate)ような行動を取ったことに、米国政府は失望している(disappointed)」
文中に出てくる「exacerbate」は、怒りなどを増幅するといった意味である。それにしても、同盟国に対し「disappointed」という表現を使うのは、相当に強い意志表明である。ハル・ノート、ニクソン・ショックそしてクリントン外交。日本は決定的な場面で何度も米国に煮え湯を飲まされてきた。
いずれの場合も、米中接近が日本の立場を苦しくした点では共通する。そうした現代史における古層がよみがえるような声明は、安倍政権にとってオバマ・ショック以外の何物でもあるまい。首相の靖国参拝はいかなる意味で、そうした古層をよみがえらせたのか。
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