特別会計が日本の港湾をすべてダメにした

執筆者:まさのあつこ2006年1月号

横浜や神戸もすべて赤字。国際競争力は劣え、それでもお金はたれ流される。港湾整備特別会計に見る、たれ流し行政の典型例。 島国である日本の海岸線は、おびただしい数の港に覆われている。港湾施設(国土交通省所管)だけで千七十九カ所、これに二千九百二十四カ所ある漁港(水産庁所管)を合わせると、実に一県平均で八十五カ所もの港がある計算になる。 港湾施設には、国が指定する「重要港湾」(百二十八カ所)と、それ以外の「地方港湾」(九百五十一カ所)の二種類がある。あまたある港湾を見渡せば、四百五十億円もの税金を投じて整備したにもかかわらず船舶の利用がなく、地元で「百億円の釣堀」などと揶揄された福井港(重要港湾から地方港湾に格下げ)のような例が目を引くが、それは決して例外ではない。 重要港湾の港湾管理者(ほとんどが自治体)が毎年度、国に提出している財政収支報告書を見れば、愕然とするだろう。横浜や神戸など、日本人の多くが“世界に冠たる規模”と思い込んでいる港も含め、すべて大赤字に喘いでいるのだ。 百二十八カ所ある「重要港湾」の港湾収入(利用者から徴収する使用料など)は歳入の二割に満たない。企業や自治体が負担する受益者負担金も二割。残り六割は国の一般財源からの繰り入れと借金である公債(地方債)で賄っているのが実情だ。しかも歳出を見れば、“自力収入”は地方債の償還に消えていることがわかる。本来、港湾管理者はその収入で港湾工事以外の支出を賄わなければならないのだが、「重要港湾」ですら財政はすでに大きく破綻している。

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