昨年12月4日、著名なジャーナリスト(ニューヨーク・タイムズのコラムニスト)であるニコラス・クリストフ氏がニューヨーク・タイムズ紙に、「現代のハットフィールド家とマッコイ家」(“Today’s Hatfields and McCoys”)と題して日中関係に関するコラムを寄稿した【リンク】。タイトルは、現在の日中関係を19世紀にウェスト・バージニアとケンタッキーの州境で反目しあっていたハットフィールド家とマッコイ家になぞらえたものである。筆者はChina Pol という中国を専門としている学者やジャーナリストが集うメール・フォーラムに参加しているのであるが、そこでもこのコラムは話題になった。

 このコラムには少なくとも2つの点で事実誤認と誤解があり、筆者はその点をChina Pol でも指摘したし、クリストフ氏自身にもメールを送って質したものである。一方で、クリストフ氏の事実誤認・誤解は、米国人の間にも頻繁に見られるものだと思われる。安倍首相の昨年末の靖国参拝に対して米国大使館が「失望した」(disappointed)という反応を示したことに衝撃が走ったように、2014年は米国が日中をどう見ているのかを考えることが大事になりそうである。そこで、2回にわたって尖閣問題における米国の誤解を論じてみたい。

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