2014年が明けた。政界では、1月24日に通常国会も召集される予定で、補正予算案や来年度当初予算案の審議が始まる。4月からの消費税増税に向けた政府の施策も急ピッチで進む。だが、それよりも先に政界の話題を呼ぶのは、東京都の猪瀬直樹知事の辞任に伴う都知事選(1月23日告示、2月9日投票)の候補者選定だろう。

 

2つの課題にけり

 1月6日、参拝を終えた伊勢神宮内宮で年頭記者会見に臨む安倍晋三首相 (C)時事
1月6日、参拝を終えた伊勢神宮内宮で年頭記者会見に臨む安倍晋三首相 (C)時事

 ところで、政治的関心が都知事選に移ることを見越していたのか、昨年末、安倍晋三首相は日本政府および自分自身にとっての大きな2つの課題にけりをつけた。ひとつは沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場移設に関する問題、もうひとつは靖国神社参拝問題である。

 これらの安倍首相の決断は国論を二分する問題だけに、政権の不安定化を招く恐れは十分にあった。そうした危険因子を昨年中に決着させられたのは、政権にとって大きい。年末年始の政治的休戦状態による国民の関心の希薄化、そして年始の都知事選候補者問題による政治的関心の移行、これらを見据えて安倍首相が2つの課題を年明けまで引きずらないよう意図的に年末に処理したのだとすれば、高度な政治戦術だったと言える。

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