中国が安倍「アフリカ訪問」を激烈批判

執筆者:平野克己2014年1月22日

 安倍首相がアフリカ歴訪を終えてエチオピアを発った翌日、1月16日に、解暁岩駐エチオピア中国大使がアフリカ連合(AU)本部で記者会見を開いた。日中戦争時代の写真を振りかざしながら、「安倍首相は中国を脅威として表現することに熱心で……地域の緊張を高めており」「日本軍国主義の復活を果たそうとしている」「今回のアフリカ訪問も”中国封じ込め政策”の一環だ」と語り、日本を「アジア最大のトラブルメーカー」と称した。感情を露にした激烈な会見だったらしい。本国からどのような訓令が出ていたかは知る由もないが、中国外交の品の無さを露呈させた内容である。

 すでに8日の段階で中国外交部報道官は、安倍首相のアフリカ歴訪について、「ある国がアフリカ諸国を利用して中国と張り合おうとしても決して思うようにはいかない」と言っており、さらに「中国は誠実で私欲のない援助をアフリカに提供している。アフリカで覇を争うような行為は間違っており、必ず失敗に終わる」とコメントしていた。また、安倍首相の数日前にエチオピアを訪問した中国の王毅外相は、「アフリカ諸国との偏狭な協力関係のもとで行われる援助は、政治的な利益や、対抗勢力に対抗するために行われることだ」と演説している。数年前に欧米諸国が中国のアフリカ攻勢について言っていたことを、今度は中国が、日本に対して投げつけている感じである。一方日本側は、谷口智彦内閣官房審議官が、「(日本は)アフリカの指導者たちに豪華な官邸や庁舎を提供することはできない」が、かわりに「人的資源を支援する」のだと、BBCのインタビューに答えている。互いにチクチクと刺し合っていたわけだが、解大使の口上は冷戦時代を想起させる異常とも言えるものだ。

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