中国の胡錦濤国家主席が十一月八日から十五日まで英、独、スペインの欧州三国を歴訪した。 英国では胡主席訪問の数日前、英王室スポークスマンが記者会見を行ない、英国滞在中(八―十一日)の胡主席のスケジュールを発表したが、記者団から一斉に質問が出た。「はじめて国賓として来るのに、なぜ行事が少ないのか」「ロンドン市内から一歩も出ないのはなぜか」。 胡主席は到着当日の八日夜、バッキンガム宮殿でエリザベス女王主催の歓迎晩餐会に出席。九日からブレア首相との会談・昼食会、王立芸術博物館での清朝皇帝三代展のテープカットなどがあるが、宿舎の宮殿を出るのは滞在期間中わずか四回。 国賓訪問には両国の友好を確認する意味合いがあり、国賓は諸行事に参加し、市民と交流するのが普通だ。一九九九年に国賓として訪英した江沢民主席(本誌九九年十一号)は四日間の滞在中、シェイクスピア劇専門の「グローブ座」、子午線の基点となるロンドン郊外のグリニッジやケンブリッジ大学を訪問。またジョン・プレスコット英副首相兼環境相とカラオケを歌うなど存在感をアピールした。 これと比べ、胡主席のスケジュールは何とも寂しいが、王室スポークスマンは「短い滞在では行事に限りがある」と弁明。しかし準備段階で、英中の事務当局者は反体制組織、人権団体の規制をめぐりやり合っていた。中国側は胡主席が訪れる場所から反体制活動家を締め出し、反中的なプラカードやシュプレヒコールを見聞きしないようにすることを要求。これを英国側が拒否したのは、江主席の訪問での苦い経験があったからだ。

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