一般には知名度が低い次期会長の榊原氏 (C)時事
一般には知名度が低い次期会長の榊原氏 (C)時事

 1月9日、経団連の次期会長(13代目)が内定した。本命視されていた筆頭副会長(日立製作所会長)の川村隆(74 )が再三にわたる就任要請を固辞。今年6月の総会で退任する現会長(12代目)の米倉弘昌(76)が指名された4年前よりもさらに 人選は難航した。結局、白羽の矢が立ったのは、これまで会長候補としてリストアップされたこともなく、経済マスコミ以外では無名に近い東レ会長の榊原定征(70)だった。安倍晋三首相(59)との不仲などで早々にレームダック化した米倉の乏しい人脈や求心力もさることながら、弱体化に歯止めが掛からない経団連の現政権に対する過剰な気遣いが、「財界総理」の人事を混迷させる一因になった。

 

「サカキバラ、Who?」

 日本経済新聞が速報で「経団連会長 榊原氏で調整」と報じた9日午後2時以降、証券アナリストたちは未知なる財界人の情報収集に追われた。この日の同紙夕刊は「東レ社長として航空機の構造材に用いる炭素繊維を世界シェア 首位に育てるなど、付加価値の高い素材を強化し、同社のグローバル化を加速した」などと榊原の経営者としての功績を紹介したが、「炭素繊維」のくだり以外は具体性に乏しく、いかにも取ってつけたような美辞麗句が並んでいた。

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