1月22日から、スイスのモントルーで、シリア問題をめぐるジュネーブⅡ会議が開かれている

2012年6月に、米露を含む主要国がシリア問題への解決策をめぐって、玉虫色の「ジュネーブ合意」を結んだ。この合意の趣旨は、内戦の当事者に挙国一致の新政権を目指して国際社会の仲介の下で話し合うように要請したものだが、「誰が当事者なのか」「実際に現地で影響力のある勢力が参加するのか」「アサド大統領の退陣を前提とするか否か」等々について、米露や、アサド政権、反体制勢力のそれぞれが、異なった読み方をできる文書である。

このような曖昧な文書に基づいた今回のジュネーブⅡ会議なので、当然、参加する勢力も、議題も、当日になるまで定まらなかった。きわめて流動的なものだ(場所もジュネーブからモントルーに移しているので、「モントルー会議」と呼んだ方がいいような気がするが)。もちろん停戦や新体制移行といった結果が出るとは誰も予想していない。

「対テロリズム」のアジェンダ設定を図るアサド政権

アサド政権は、昨年9月に米露と「化学兵器廃棄」で合意したので、化学兵器廃棄が終わるまでは、その当事者として政権の存続を事実上黙認されたとみている。だから少なくとも2014年中は反体制派を一般市民もろとも殺戮することに「許可」を得たとみなしている。事実上この認識は正しい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。