「中国に負けるな」加速するインドの宇宙開発

執筆者:緒方麻也2014年1月27日
 インド初の無人火星探査機を載せたロケット発射も成功させた (C)AFP=時事
インド初の無人火星探査機を載せたロケット発射も成功させた (C)AFP=時事

 インド政府が近年本気で取り組み始めた国家プロジェクトの1つが宇宙開発である。一足早く有人宇宙飛行や月面着陸を成功させた中国を追いかけるように、1980年の国産ロケットによる実験衛星打ち上げからわずか30年余ながら、極めて速いペースでロケットの開発や人工衛星の打ち上げを進めている。

 米航空宇宙局(NASA)に相当するインド宇宙研究機構(ISRO)ではすでに、比較的小型の人工衛星を主に地球を周回する極軌道に投入するロケット、PSLVシリーズの実用化に成功。日本などアジア諸国やフランス、イスラエルなどの衛星を受託打ち上げするビジネスも軌道に乗せている。2007年には宇宙カプセルSRE-1の打ち上げ・回収に成功し、有人飛行に大きな道筋をつけた。08年にはNASAの協力を得て初の無人月探査機・チャンドラヤーン1号の飛行に一応成功。12年にはマイクロ波レーダーによって夜間や雨天時でも地表観測が可能な新型衛星「ライサット-1」を無事地球周回軌道に投入した。

 

今後5年間で50基

 最近のトピックはやはり「アジア初」の火星探査機と、国産技術を投入した極低温エンジン搭載の大型ロケット「GSLV-D5」それぞれの打ち上げ成功が挙げられる。13年11月上旬に打ち上げた火星探査機「マンガルヤーン」は現在、6.8億キロメートルかなたの火星に向かって約300日間の旅を続けている。

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