北朝鮮の金正日総書記が突然訪中し、上海、広州、深センなどを回った。一九九二年に深セン、珠海、上海を訪ねて「南巡講話」を発表、改革・開放を推進したトウ小平氏の旅程と似ており、金総書記が今回の「南方視察」を機に、経済改革を新たな段階に進める可能性が強まっている。 北朝鮮では金総書記訪中の最中の一月十二日に故・金日成主席の叔父、金亨権氏の死去七十周年の追悼式が行なわれた。が、普通なら出席するはずの趙明禄軍総政治局長、金永春総参謀長、金鎰チョル人民武力相ら軍幹部は欠席。総書記が訪中に同行させたと見られる。経済実務官僚に加えて、経済改革の「抵抗勢力」にも中国の改革・開放の現場を見せようと目論んだようだ。 訪中は中国の胡錦濤総書記が昨年十月の訪朝時に勧めたものらしく、北朝鮮が経済特区拡大などを推進するなら中国も積極的に支援するとの約束があるとされる。金総書記は〇一年一月にも上海を訪問し、中国からの援助を確保した経緯もある。 一方の中国は最近、北朝鮮への関与を深め、北を含めた「東北四省」の開発を推進中と評されるほど。三月の全国人民代表大会で正式決定される第十一次五カ年計画でも対北援助が盛り込まれる見込みだ。

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