災害救助ロボット「援竜」が活躍する日

執筆者:水木楊2006年2月号

 遠く海外の出来事でも、災害を報じる悲惨な映像は記憶に焼きつく。昨年十月のパキスタン地震では八万人近くの死者が出た。倒壊した建物の下敷きになった犠牲者も多い。もう少し早く救助すれば一命を取りとめるケースもあろうが、倒壊物を注意深く取り除くのに時間がかかることがある。また、有毒なガスやアスベストなどで人が近づけないケースでは、救助が間に合わないことがしばしばある。 そんなときに活躍しそうな救助ロボットの開発が進んでいる。その名は「援竜」。その援竜を見に北九州へ飛んだ。北九州市消防局や独立行政法人・消防研究所とともに開発を進めているのは「tmsuk」(テムザック)。社員二十六人のロボット開発企業(資本金十億二千百三十五万円)である。 市の中央部、九州を縦に貫く国道三号に面して、グレーの外壁のしゃれた三階建ての建物があった。入り口に「Practical Robotic Solutions」のロゴがあるように、さまざまなロボットを開発している。たとえばオフィスや工場の巡回警備を行なう「アルテミス」や、外出先から携帯電話で家の中の様子を観察したり、動かしたりできる留守番用「ロボリア」などがある。

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