ASEAN諸国との関係強化に動く中国。なかでも南の隣国、ベトナムへの働きかけが目立つ。中越戦争を経て、国交正常化から十五年。変化を早め始めた関係を見定めるために両国国境の街を歩いた。 市を東西に貫く道幅三十メートルほどもある民族大道。椰子の並木が続く通りをはさんで、広壮な区人民会堂の向かいにはこれまた巨大な看板が立つ。毛沢東、トウ小平、江沢民(前国家主席)の三人が並んで拍手する絵が描かれ、「団結奮闘、振興南寧」という江氏揮毫の書が添えてある。中国南部、広西壮族自治区の区都、南寧はいかにも発展が著しい中国の地方都市といった趣だ。 市内には高層ビルが建ち並び、大きなクレーンをのせた建設中の建物も目立つ。四百万人という人口は、中国の南に接するベトナムの首都ハノイと大差はないが、はるかに大きな都市という印象だ。 その南寧が今、ちょっとした「東盟」ブームに包まれている。東盟というのは東南アジア諸国連合(ASEAN)のことだ。市内で買った南寧の地図は去る十月に開かれた中国ASEAN博覧会に合わせた特製版だった。博覧会の開催を「熱烈祝賀」する大きな字が並び、東南アジアの地図やASEAN加盟各国の簡単な紹介も付いている。民族大道など市内の目抜き通りにも中国とASEANの「合作共勝」を呼びかける大きな看板が立ち、協力ムードを盛り上げている。

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