急に進み始めた核燃料「国際管理構想」

執筆者:北村隼郎2006年2月号

アメリカが一転して構想に賛意を表明、新たな原子力エネルギー管理の時代が訪れるかもしれない。だが日本は、肩透かしを食っている。 疑惑浮上から三年半が過ぎたイラン核問題の打開案として浮上している一つの「方策」が、日本を含む世界の原子力エネルギー利用のあり方をも左右する可能性が出てきた。 その「方策」とは、核燃料の製造工程を、原子力発電所の保有国では実施せずに、既に施設と技術を持っている別の国で実施することにより、核燃料関連のノウハウが不必要に多くの国に拡散することを防ぐというアイディアだ。“打開案”と同じ考え方で 核燃料の製造技術は、そのまま核爆弾の製造にも使える点で厄介な存在だ。核拡散防止条約(NPT)は核兵器保有国を米ソ(露)英仏中の五カ国に限定しつつも、それ以外の国々には発電など核の民生利用の権利を容認してきた。ところが、国際原子力機関(IAEA)の査察能力に限界があることを利用して、民生利用を装いながら核兵器製造を試みてきたイラクやリビア(ともに後に断念)、北朝鮮(既に核兵器保有を宣言)などの国々が現れた。 イランが国内で建設を進めている原子力発電所や燃料製造施設についても、その規模の大きさや、核弾頭も搭載できる弾道ミサイルを開発しているなどの周辺状況から、日米欧が「本当は核兵器開発を意図しているのではないか」と警戒。イランと各国の最近の協議では、「軍民両用技術」であるウラン濃縮工程は、イラン国内の代わりにロシアで実施する案が浮上した。

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