核開発問題を始め、なにかとお騒がせなイランだが、この国には世界から一目おかれる女性弁護士がいる。イラン初、イスラム圏の女性としても初のノーベル平和賞受賞者のシリン・エバディ(一九四七年生まれ)だ。男尊女卑が残るイスラム社会で女性の社会的地位の向上や、児童虐待を防止する法整備などに尽力したことで知られる。 テヘラン大学を卒業し、司法修習生を経てイラン女性初の裁判官に。この間に私法で博士号を取得している。二〇〇三年にノーベル平和賞を受賞して以来、東奔西走の毎日が続く。同賞の受賞者には、受賞した瞬間から山のような講演依頼が殺到するからだ。テヘランの個人事務所に出かけていっても不在が多いから、面会の約束を取るのは至難の業と聞いた。 それは百も承知の上で、テヘランを訪れた際、イラン人の知人に「エバディに会いたい」と打診したところ、「約束はできないが、やってみよう」との返事。しばらくして「エバディとのアポが取れたから、これから行くぞ」とあいなった。 初対面のエバディは小柄で、どこにノーベル平和賞を受賞するほどのパワーがあるのか、不思議なくらいだった。そういえば、東南アジアでも、ある小柄な女性に同じような感想を抱いたことがある。ミャンマーのアウン・サン・スー・チーだ。

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