前回(http://www.fsight.jp/24382)に引き続いて、ピュー研究所のジェフリー・パッセル氏によるサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所での講演をもとに「移民の国アメリカ」を論じてみよう。今回は移民の動向が今後の米国政治にあたえる影響について考えてみたい。

 

 はじめに押さえておきたいことは、移民人口の増加とともにマイノリティが米国人口に占める割合も増えているという事実である。日本人にとって、「移民」と「マイノリティ」の区別は難しいところであるが、米国社会においては区別されて存在するのが実態である。前回「移民」とは米国外で生まれた米国民と定義されると述べた。これに対して「マイノリティ」は白人か白人でないかが問われる。すなわち、白人でない米国民と定義される。ヨーロッパ、カナダあるいはロシアや東欧の旧共産圏諸国からの移民は、移民であるがマイノリティではない。もともと移民の国であるから、親や祖父母が移民であるという人が多いが、米国で生まれたか否かにかかわらず、白人でない国民がマイノリティである。オバマ大統領の父親は米国生まれではないが、大統領自身は非移民・マイノリティである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。