[ワシントン発]昨年末までホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長を務めていたマイケル・グリーン氏は、ブッシュ政権きっての日本通として日米双方の政府から頼りにされてきた。五年間のNSC勤務に一区切りをつけ、民間に移ったばかりのグリーン氏に、日米関係の課題を聞いた。「難題」として浮上した中国――近年、米国の日本への関心が低下し、「ジャパン・パッシング(日本素通り)」がいわれます。政権内での実際の認識はどうでしたか。グリーン 五年前、ブッシュ政権が発足した時、米日関係は政権の最重要課題に据えられました。テロやイスラム教の未来といった国際関係における「変数」の中でも最大の変数である「中国」を誤りなく取り扱うためには強い同盟関係が必要であり、それは米日同盟だというのが考えの基本です。そのため、我々は同盟の強化に努めました。幸いブッシュ大統領と小泉首相の関係は非常に緊密となり、戦略対話も進みました。その結果、米日関係はかつてないレベルにまで高められたのです。今もそれに全く変わりはない。 変わったのはアメリカの対中貿易赤字が記録的水準に増大すると同時に、北朝鮮やジンバブエ、スーダンなど世界中の問題に中国の与える影響が大きくなり、「難題」としての中国が浮上したことです。だからといって友人としての日本に対する関心が薄れたわけではありません。

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