歳出削減を進める英ブレア政権が、中央官庁の業務の海外へのアウトソーシング(外注)を検討している。 昨年、国営国民貯蓄銀行の事務作業について同様の計画があることが明るみに出て、労働組合や野党から強い反発を招いたが、今回、密かに対象となっているのは、英国最大規模の中央官庁である雇用年金省。 同省内の検討チームが作成した機密資料には、「雇用年金省の一部、あるいは全部の業務を英国内から海外に移転させてしかるべき」との文言があり、当の文書の内容の機密保持に最大限の注意を払うようにとも記されている。 雇用年金省の広報担当者は、同省には業務の海外移転計画はないとしているものの、同様の検討は、統計局と国民貯蓄局でも始まっている模様。業務を海外の民間企業にアウトソーシングした場合、労働者一人あたりの人件費は現状の五分の一にまで圧縮されるという。 すでに独シーメンス傘下のITサービス企業、シーメンス・ビジネス・サービスが具体的な提案も示していて、そこには、中央官庁が持つ出生や結婚・離婚、死亡といった個人情報すべての保持と管理をインドのチェンナイ(マドラス)で行なうといった内容まで含まれている。

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