村上ファンドによる阪神電気鉄道の株買占めに続き、今度は阪急ホールディングス(HD)の筆頭株主に、投資会社であるプリヴェチューリッヒ企業再生グループが躍り出た。狙いは「阪急HDのグループ会社である東宝が持つ、多額の含み益を抱えた不動産にある」(大手投資銀幹部)とされる。 プリヴェはすでに京成電鉄の筆頭株主でもあり、その狙いは東京ディズニーリゾートを運営する京成の子会社、オリエンタルランドの支配。「ファンドは今後も、都心部などの簿価の低い一等地を抱えた鉄道株を狙う」(同前)といわれる。 たとえば小田急電鉄は東京・新宿にホテルのセンチュリーハイアット東京を持つほか、京王電鉄も同じ新宿に京王プラザホテルを抱える。含み益はそれぞれ「四百億円、三百億円程度ある」(大手証券アナリスト)とみられ、投資家には垂涎の的だ。 このほど米保険大手のAIGが森トラストから東京駅八重洲北口の土地とビルを公示地価の三倍とされる価格で買い取る計画が明らかになり、都心部の不動産の値上がりがあらためて浮き彫りになった。「米ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの証券会社やヘッジファンドは、優良子会社や優良不動産を多く抱える鉄道会社の資産評価を急ピッチで進めている」(国内大手証券)という。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。