プーチンが狙う「ミニ・ソ連」の野望とは

執筆者:名越健郎2014年3月10日

 ロシアが実効支配したウクライナ領クリミア自治共和国で、ロシアへの編入の是非を問う住民投票が3月16日に実施される。これを受けてロシア下院はクリミア併合を可能にする憲法改正作業を進めている。国際社会は一切無効と非難しているが、ロシアは国際的孤立を無視して突っ走る構えだ。

 

21日にも改憲成立か

 住民投票では、(1)クリミアのロシア連邦編入を支持するか(2)クリミアは自治を大幅に拡大してウクライナ領にとどまるか――の2つの設問が問われる。3万のロシア軍が展開する中での恐怖投票で、ロシア編入が7割以上の支持を集めるとみられている。クリミア議会はすでに、警察組織や自治共和国の機関をウクライナ政府から分離する決定をしており、ロシア編入の既成事実化を進めている。

 ロシア下院の与党系・公正ロシアのミロノフ代表は、クリミアなど他地域のロシア連邦併合を可能にする改憲案を下院憲法委員会で審議しており、3月21日に本会議第1読会を行い、同日中の成立もあり得ると述べた。改正案は「外国に実効的統治権を持つ政権がない場合、住民投票の結果などに基づきロシア連邦に編入できる」としており、クリミア以外にも適用し得る。下院に議席を持つ4党すべてがクリミア併合を支持。7日にはモスクワでクリミア編入を歓迎する6万人の官製集会が行われた。

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