「関係者」とはだれか

執筆者:2006年3月号

 ライブドアの堀江貴文前社長ら逮捕された幹部たちは、東京拘置所の中にいる。連日、朝早くから夜まで取り調べを受けているらしい。その彼らが、取り調べの中で否認したとか、ほとんど自供してしまったとか、新聞やテレビが報じている。情報の洪水で、もはや「ホリエモン」らの有罪を疑う人はほとんどいない。新聞やテレビの「情報源」は決まって「関係者」となっている。「関係者が明らかにした」というが、関係者とはだれなのか。 司法ジャーナリズムの「関係者」によると、それは「東京地検特捜部」の副部長クラスの検事ということになるらしい。いわゆるリークである。しかし、公式にはそのようなことは一切ない、ということになっている。新聞やテレビが勝手に書いたり報じたりしたことに責任は負えない、というのが検察の言い分だ。新聞、テレビが「勝手に」みな同じような内容の報道をしている。きっと偶然そうなったとでもいうのか。 ホリエモンらが自分たちに関する報道をどの程度知ることができるのかわからぬが、反論する術も場もない。「~していたことが関係者の話で明らかになった」と連日報じられているうちに、ライブドア事件はたちまち政界を巻き込んだ「大疑獄」へと発展しそうな空気である。期待ばかりふくらんで、あげくにネズミ一匹ともいかずにしぼんでしまったときのことを想像すると虚しい。

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