まだ未確認情報だが、リビア東部シドラ港で、リビア政府の意向に反して石油を積み出して公海上に出たタンカーが、ミサイル攻撃を受けて炎上している、という。

 ただし、これは今のところ『リビア・ヘラルド』というカダフィ政権崩壊後にリビアで創刊されたもっとも水準の高い新聞(ただしすべての記事に信憑性が高いとは言い切れない)が速報で報じただけであり、アル=ジャジーラなど速報性の高いアラビア語メディアのホームページでも報じられていない(日本時間3月12日午前3時現在)。【Oil tanker allegedly on fire in international waters, Libya Herald, March 11, 2014

 もしこれが事実なら、リビアの暫定政権にとって、国家財政と国民経済の根幹をなす石油産業を掌握できないという印象を決定的にし、大きな打撃となる。

 2011年の『アラブの春」で、内戦の末に最高指導者カダフィとその一族を打倒したリビアだが、新体制への道のりは険しい。

 反カダフィで立ち上がって、内戦で功績を挙げた各地の民兵集団が武器を手放さず、選挙で選ばれた国民全体会議(GNC)による暫定政権の指令に従わないどころか、しばしば武力で意志を押し通そうとし、移行期の政治プロセスの基本的な制度や工程表の次元で改変を迫るため、新体制設立への道のりはなかなか前進しない。

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