トルコ全土で3月30日に投票が行われる、各都市の市長を選出する統一地方選挙は、エルドアン政権の命運を分ける重要な意味を持つようになってきた。やや劇的に表現すれば、エルドアン首相が、建国の祖ケマル・アタチュルクに続く「トルコ共和国中興の祖」となれるか否かは、この選挙にかかっているといってもよい。

エルドアン首相への逆風

 もちろん地方の首長選挙そのものがエルドアン首相の政権運営に直接影響を与えるわけではない。しかし今回の選挙は、国民のエルドアン政権への支持が実際にどれだけあるのかを計る、バロメーターとしての意義を日増しに高めている。そしてまさに今、エルドアン首相は国民が投票で現政権に明確な支持を表明することを必要としているのである。

 2002年の、穏健派イスラーム主義政党の公正発展党(AK Party)による政権獲得以来、強い指導力でトルコの経済発展を支え、国際的地位の向上に成果を挙げてきたエルドアン首相だが、昨年5月末に始まったイスタンブールのタクシム広場に隣接するゲジ公園に発した大規模デモや、昨年12月以来続く政権幹部とその子弟の汚職の発覚、そして新興国経済の先行きが不安視され資本流出が危惧される経済状況といった、さまざまな逆風に晒されている。

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