ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認、プーチン大統領はロシアに編入する条約をクリミア自治共和国首相らと結んだ。「冷戦の再来か」と騒がれる中で、ヨーロッパは国際社会の激動に翻弄されてなすすべもない。対話による事態収拾の目処はなく、当面武力介入もないので、事態はロシアの望む形になる可能性が高い。冷戦終結以後の世界をどうとらえるのかという議論は、「多極化」から「一極化」へと推移し、さらに新たな「二極化」ないし「多極化」の様相を一気に帯びてきた。新しい二極・多極体制は、「多極化時代」と呼ばれた1970年代以上に、競争力のあるBRICS諸国のような「準大国」を多くもつ複雑な構造となっている。西欧諸国は錯綜する新しい世界秩序の中で難しい立ち位置を強いられているが、その根底には旧態依然たる大国意識が残存している。

 

クリミアの92年憲法

 3月16日に実施されたクリミア自治共和国での住民投票で、95%以上の支持率で同共和国の独立が決定、ロシアへの編入も時間の問題となった。21日のロシア連邦議会で、独立したクリミア共和国をロシアに編入するための法律が採択される見通しだ。

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