女性が社会進出すると「婚外子」が増える

執筆者:藤沢数希2014年3月22日

 前々回と前回の記事で、生物学的な根拠、そして、実際の結婚前の男女の自由恋愛に関する調査などから、人間の配偶システムは、法規制が何もない状況で自由になれば、緩やかな一夫多妻制になるということを示した。

 しかし、日本をはじめ、現代の先進国では、様々な文化的制約、法規制等で一夫一妻制を善とする社会規範ができている。そして、その理由を以下のように述べた。

「要するに、結婚制度とは、男性の下の5割‐7割程度のための法制度なのである。民主主義というのはひとり一票である、自由な恋愛市場(緩やかな一夫多妻制)では苦戦する男性が多数なので、先進国では一夫一妻制を強制する結婚制度が支持されるのもなんら不思議ではない」

 仮に、この仮説が正しいとしたら、一夫一妻制、そしてそれを強制しようとする先進国の結婚制度は、女性を守るため、というよりはむしろ、多数派の男性(民主主義では一番政治力がある)の救済策であることがわかる。つまり、女性の多数派にとってはじつは不利益な制度なのだ。だとしたら、女性の社会進出が進み、政治での女性の力が増すほど結婚制度は形骸化し、婚外子が増えるはずである。

 今回はこの仮説を少なくとも部分的に確かめてみよう。以下のグラフは、国連の「World Fertility Report 2012」から主な先進国の婚外子比率を筆者が抜き出したものである。

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