野依理事長らの中間報告”謝罪”会見は世界に報じられた (C)AFP=時事
野依理事長らの中間報告”謝罪”会見は世界に報じられた (C)AFP=時事

 英科学誌『Nature』に掲載された、理化学研究所の研究者らによるSTAP細胞に関する論文には、すぐわかる明白な研究不正がいくつも存在する。日本学術会議の「学術と社会常置委員会」は、平成17年に、研究不正=ミスコンダクトには「盗用(plagiarism)」「改ざん(falsification)」「ねつ造(fabrication)」の3種があると定義している。これに照らすと、今回のSTAP論文は、3種の不正をすべて完璧に備えており、研究不正の「三冠王」といってもいい。

 ところが、3月14日の記者会見で、理研の幹部は「不正」という判断をそろって回避した。不正の有無を速やかに調べるはずの「研究論文の疑義に関する調査委員会」の石井俊輔委員長は、不正があったかどうかは今回の中間報告ではなく、最終報告で確定するとして、結論を先送りした。

 会見に同席した野依良治理事長は、論文には重大な過誤があると述べ、川合真紀・研究担当理事は、科学者の常道を逸脱していると指摘し、竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター(CDB)長は、重大な倫理上の問題があるので著者らに論文撤回を勧めたと明かした。理研幹部は一様に、不正という表現を使うことなく、容疑は「真っ黒」だと盛んに「ほのめかした」のである。

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