“経営燃料不足”のJALが翼を休める日

執筆者:杜耕次2006年4月号

世間を呆れさせた泥仕合が収まっても、内情は変わらない。財務には何重もの乱気流が待つ。このままでは破綻への片道飛行に――。「ご指摘の通りです。バランスシートをどう改善するか、時間軸を持って考えなければならない」 あまりの歯切れの良さに、報道陣は一瞬呆気に取られた。 三月一日午後三時、東京・霞が関の国土交通省。日本航空(JAL)の社長交代発表会見が始まった。 冒頭の発言は、六月下旬に社長を辞任する新町敏行(六三)に代わる次期社長(現取締役)西松遙(五八)の口から飛び出したのだが、その前段の記者の質問はこうだった。「JALの業績は悪化の一途だ。財務がいつ破綻してもおかしくないのではないか」 普通なら、「来期は黒字転換を見込んでおり、ご心配に及ぶようなことはありません」といった、その場しのぎの回答が聞こえてきそうな場面だったが、西松は半ば開き直っていたのか、敢えて「物騒な物言い」(証券アナリスト)をした。 破綻の懸念を現在財務担当でもある次期社長が「ご指摘の通り」とは、まさに大胆不敵。自虐的な発言で報道陣を煙に巻こうとしたのか、それとも覆い隠しようがないほど事態が深刻なのか。JALの現状をみると、後者の可能性が極めて高い。

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