「子供を産む=結婚」という文化的制約

執筆者:藤沢数希2014年3月30日

 総務省の統計によれば、平成24年度の出生数は103万7000人である。一方で、厚生省の統計によれば、平成24年度の人工妊娠中絶件数は19万7000件である。産まれてくるはずだった子供の概ね16%が人工妊娠中絶により、死んでしまうことになる。もっとも、コンドームやピルなどの避妊が普及したために、この数自体は改善している。たとえば、平成元年の出生数124万7000人に対し、人工妊娠中絶件数は46万7000件だった。じつに産まれてくるはずだった子供の27%が人工妊娠中絶されていたのである。

出所:「衛生行政報告例」厚生労働省

 中絶というのは、もちろん道徳的にすばらしいことでもなく、後ろ暗いことであるので、世間では中絶したことをおおっぴらに話す人はいないのだが、統計を見る限りものすごく身近なことで、多くの人が経験していることである。

 しかし、有名人というのは大変なもので、多くの人がやっているが口にして言わないことでも、たまにニュースになってしまい、人目にさらされることになる。

 つい先日、ソーシャルゲーム事業を展開するグリーの田中良和社長が、東京都内に住む20代の一般女性から、「やむなく中絶させられた」と3000万円の慰謝料を請求されているというニュースが流れていた(さくらフィナンシャルニュース、3月27日)。

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