核兵器開発疑惑の渦中にあるイランが、弾道ミサイル開発を進めるため、軍需産業に関わる人員を航空宇宙組織勤務の肩書でロシアに派遣しているとの情報がある。ロシアの衛星打ち上げ用ロケットの発射に関する知識を習得することで、自国のミサイル発射技術の向上に役立てようとしているのだという。 イランでは弾道ミサイル開発は高度な国家機密に属し、航空宇宙関連分野の人材は蚊帳の外に置かれている。そのため、ロシアへの派遣人員も軍需産業界から選ばれたが、派遣に際しては身分を偽ることにした。中東の軍事筋は「ロシア側はこの事実を把握していない模様だ」としている。 イランが保有しているロシア製の潜水艦発射型長距離ミサイルSSN-6(射程三千五百キロ)は、これまでのイランのミサイルよりもメカニズムが複雑だ。これを地上発射型に改造するため、イランは発射実験の準備を進めており、ロシアへの人員派遣も発射技術の獲得が目的とされる。 SSN-6ミサイルの改造が成功すれば、射程には中東だけでなく欧州も入る。核弾頭の搭載も可能なため、安全保障環境が大きく変わることになりかねないと、米国をはじめ各国は神経を尖らせている。

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