ロシアが七月にG7首脳をサンクトペテルブルクに招いて初めて主宰するサミットに向け、国威発揚を図るプーチン大統領が、ロシア版の国際石油資本(メジャー)の誕生に躍起となっている。 クレムリンが資源大国ロシアの看板企業に育てようとしているのは、国営石油会社ロスネフチ。同社は二〇〇四年末に大統領と対立して解体された石油大手ユコスの中核子会社ユガンスクネフチガスを吸収したことで、生産量は日量約五十万バレルから百五十万バレルに拡大。急成長を遂げ、近くロンドン証券取引所で新規株式公開(IPO)に踏み切る。百五十億ドルとみられる売出し総額は、これまでで最大規模のIPOとされてきたNTTドコモの百八十億ドル超に迫る規模だ。 だがロスネフチの会長は、プーチン政権の治安機関系人脈の重鎮、イーゴリ・セチン大統領府副長官で、社の中枢には旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身者が多い。これは、政権による企業乗っ取りとして欧米の批判を浴びたユコス解体によって膨張したロスネフチならではの“汚点”と目されている。 そこでプーチン大統領周辺が考え出したのが、ブッシュ米大統領に近いエバンズ前米商務長官を経営陣に招き、国際信用を高める奇手。しかし、ユコス解体批判の急先鋒だったエバンズ氏はこれを拒否した。ロスネフチは「謀略企業」のいかがわしいイメージを払拭できないままでいる。

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