麻薬ビジネスに手を染める国家や団体を制裁するための法案が、米国で具体化しつつある。 昨年十二月、国務省外交安全保安局、司法省麻薬取締局(DEA)、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)、連邦議会調査局の麻薬専門家三十人余で構成される麻薬担当タスクフォース(TF)が始動。麻薬の取引やその支援活動を安全保障上の観点からテロ行為と見なし、制裁法案の作成に取り組み始めている。 米財務省は昨年、北朝鮮による紙幣偽造疑惑に絡んでマカオの銀行を「資金洗浄憂慮対象」に指定し、米銀行との取引を禁止した。麻薬TFによる法案では、問題となった金融機関と取引を行なう他の金融機関にも制裁が及ぶ。制裁対象を、該当金融機関を利用する法人や個人にまで拡げ、米銀との取引や米国への入国までをも規制することが検討されているという。 麻薬TFを支援する国務省の麻薬専門家によれば、「麻薬対策法が成立した場合、最大の打撃を受けるのはパレスチナのハマスと北朝鮮」。CIAのデータでは、世界規模で活動する三十六のテロ組織・国家のうち、麻薬ビジネスに直接携わっているのは六、関係を持つのは八あるとされ、ハマスと北朝鮮は直接麻薬取引を行なっていると目されている。

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