携帯電話世界大手の英ボーダフォンの日本法人買収に乗り出したソフトバンク。成功すれば、昨年十一月に獲得した携帯電話の事業者免許(利用周波数の割り当て)はどうなるのか。 免許は新規参入が前提だが、管轄の総務省電波監理部は「行政判断は過去に遡って覆せない」。ソフトバンクが事業計画どおりのサービスを提供できなければ、さすがに免許を取り消す方針だが、ソフトバンクは「新規免許は返上しない」姿勢。 仮にボーダフォンの分と新規の電波の“二重取り”が認められた場合のソフトバンクの出方については、業界の見方は次のように二分される。(1)自社で積極的に利用して、ワンセグ(携帯端末向けテレビ放送)商戦に参入する、(2)電波をMVNO(仮想移動体サービス事業者)に“又貸し”する。 (1)説の根拠は、通信網をゼロから整備すれば四月に始まるワンセグ放送への参戦が遅れるというもの。ソフトバンクはヤフーと共同で十万本の動画コンテンツを持つ配信会社を設立しており、その有効利用のため「時間をカネで買った」と見る。 ただ、ワンセグ参入には第三世代携帯電話網の展開が不可欠。ボーダフォンの対応は遅れていて、NTTドコモやKDDIに対抗するのは難しい。そこで、ボーダフォンの設備などは別の新規業者に転貸して使用料を稼ぐというのが(2)の見方だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。