日中「アフリカ・インフラ」受注競争?

執筆者:平野克己2014年4月8日

 忙しい年度末だったが、最後の1週間は南アフリカにいた。いろいろな会議に出てきたが、そのなかで、アフリカにおける日系企業は苦戦しているという印象を強くした。

 先月、南アフリカの運輸公社「トランスネット」の機関車大型入札の結果が発表された。電気機関車359両は中国南車、240両がカナダのボンバルディア、ディーゼル機関車233両が米GE、232両は中国北車に発注となった。日本勢では三井物産・東芝連合が応札していたが、完敗した。三井物産・東芝連合はこれまでトランスネットに電気機関車を納入してきた実績をもち、そのための現地法人を設置して、現地メーカーへの技術支援も行ってきた。ここを拠点にして南部アフリカ地域全体の鉄道車両需要を取り込もうというのが将来的な構想であった。合計1000両を超す今回のような大型入札は、世界でもそうはない。これを逃したショックは大きい。日本勢によるアフリカ鉄道関連事業の存亡にも関わりかねない。

 人口が縮小しているなか日本国内の鉄道は、今後、更新以外大きな需要が見込めない。この事情はすべてのインフラ・ビジネスに当て嵌まる。その一方で、インフラ維持やリハビリには応えていかなければならず、技術者層は確保しなければならないし技術水準は落とせない。むしろ、災害対策を含めて技術革新の要請が大きいのである。となれば、海外に打って出るしかない。海外インフラ市場の開拓と獲得は日本にとって重要なイニシアティブである。
 アフリカ大陸のインフラ需要は年間10兆円近いという推計もあるが、実際にファイナンスがついて着工される電力・運輸・通信部門の新規建設はおそらく、年間1兆4000億円ほどの規模だろう。これがアフリカのインフラ市場ということになる。中国は単独で数千億円規模のインフラ建設をアフリカで行っていると思われるが、これには中国企業しか参入できない。

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