沖縄・石垣に見た「子育ての楽園」

執筆者:水木楊2006年4月号

 二〇〇五年国勢調査の速報値で、日本の人口は減少に転じた。だが同じデータを別の角度から見ると、国内で人口が増加した都道府県十五の中に、沖縄県が入っている。国勢調査ごとの増加率では東京都、神奈川県に次いで堂々の第三位である。 沖縄県はこれまでも大阪府、愛知県、福岡県など大都市を抱えたところを押さえている。移住してくる人たちも多いのだが、〇三年時点の合計特殊出生率は一・七二。同年全国平均の一・二九をはるかに上回り、断トツに高い。 一人あたり県民所得は全国平均を一〇〇とすると、わずか七〇・八(〇三年実数値)。最下位だが、人口動態で見れば、沖縄県は女性が子供をより多く産む、ダイナミックな成長社会なのだ。 その沖縄の中でも、出生率の驚くべき高さを誇るのが石垣島である。〇二年の合計特殊出生率は二・二一。過疎に悩む離島の多い中で、前年同月比の人口増加率も一%を超え、同じ八重山諸島の中の竹富町と共に県の人口増を引っ張っている。 経済の停滞に悩む沖縄本島に比較して、この島はすこぶる元気で、おきぎん経済研究所の企業動向調査によれば、県全体では業況が「好転」と答えた企業よりも「悪化」の方が多くマイナス四・六%であるのに対して、石垣島を軸にする八重山地方はプラス四三・三%と飛びぬけて高い。住民の所得も沖縄全体で十年連続してトップの地位を占めた。

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