中国人民銀行(中央銀行)と国家発展改革委員会の論争が起きている。人民銀がインフレ懸念に警鐘を鳴らすのに対し、改革委はデフレ圧力こそが問題と主張する。 まずは人民銀が二月に出した「貨幣政策執行報告」。ガソリンなど政府が低く抑えている公定価格の見直しが近いことを示唆し、実現すれば価格上昇を招いて「隠れたインフレを解き放つ」と指摘した。生産過剰で鉄鋼などの価格が下がっていることにも触れてはいるが、その後のくだりで「調査によると四一・七%の人が物価上昇を、四・三%が下落を予想している」と自説を駄目押しした。論争には有力メディアや学者も積極参加。例えば有力経済紙『二十一世紀経済報道』は二月末に、人民銀と同じ観点から「デフレ論が次第に遠ざかっている」と報じている。 これに対し、改革委は三月初めに新華社系『中国証券報』紙に載せた文章の中で「(公定価格の)調整はインフレを起こさない」と強調。さらに「経済はデフレ圧力に直面している」とし、人民銀に真っ向から反論した。学者では中国経済研究所の樊綱所長がこれに近い立場だ。講演で「消費者価格は過去数年間下がり続けている。デフレを警戒しなければならない」と強調した。

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