郭台銘氏の強力なリーダーシップと求心力で「堺ディスプレイ」は黒字化したが、それでもシャープの苦境に変わりはない (C)AFP=時事
郭台銘氏の強力なリーダーシップと求心力で「堺ディスプレイ」は黒字化したが、それでもシャープの苦境に変わりはない (C)AFP=時事

「経済一流、政治は二流」――。

 高度成長期からバブル期に至る1960-80年代、世界へ躍進する日本企業とは裏腹に、永田町の相も変わらぬ派閥政治や金権体質を揶揄してこんな言い回しが流行った。日本経済の絶頂期を演出したバブルが崩壊して20年余り。政治は「二流」のままだが、「一流」とされた経済のグローバル水準が危うくなっている。エレクトロニクス産業の「デジタル敗戦」は、まさにその象徴。日本の製造業の現況を表現すれば、「技術一流、経営は二流」と言い換えられるが、とりわけAV(音響・映像)家電大手“御三家”の一角、シャープにはそのフレーズがぴたりと当てはまる。

 先月末、家電・AV機器担当アナリストの間で話題を呼んだニュースがある。技術者向け情報サイト『日経テクノロジーオンライン』が3月28日に配信した「旧シャープ堺工場が大幅利益、郭台銘氏が開示」という見出しの記事がそれ。「第10世代」(パネル1枚の大きさが2880ミリ×3130ミリ)の大型液晶パネルを生産する『堺ディスプレイプロダクト』(旧シャープ堺工場、大阪府堺市)が、2013年12月期に151億円の営業利益を計上したことを速報として報じたものだ。

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