ホルムズ海峡を監視下に置く中国の新戦略拠点

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2006年5月号

マラッカルート、ミャンマールートに続いて中国がパキスタンルートを構築しつつある。インド包囲網とも見える戦略物流路の狙いとは――[ワシントン発]アラビア海に面するグワダールの港を、中国資本で物流と軍事の拠点として整備する――パキスタン政府のこの決断は、南アジアで近年最も重大な決断だったといって過言ではない。グワダールはイラン国境からわずか七十二キロ、ペルシャ湾の出口ホルムズ海峡からも四百キロと、戦略的にきわめて枢要な場所に位置しているからだ。 二月二十三日、北京を訪問していたパキスタンのムシャラフ大統領は『人民日報』との単独インタビューで、パキスタンは中国が(中東の)エネルギー資源にアクセスするための「経路」になりたいと語っている。「我々は中国の貿易とエネルギー確保のための重要通路を用意したい」。ムシャラフはこう語った。 計画が順調に進んでグワダール港が完成し、イスラマバードを経て中国・新疆ウイグル自治区に至る道路・鉄道網が完成すれば、パキスタンは中国西部とペルシャ湾を繋ぐ重要な戦略ルートを中国に提供することになる。中国が積極的に投資を増やし、資源開発に乗り出しているアフリカからの物資をこのルートを使って運ぶことも容易になる。

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