セブン&アイがミレニアムリテイリングと統合するなど、スーパーと百貨店との業界の垣根を越えた再編が進む流通業界。こうした中、イオンがセブン&アイに対抗して百貨店の取り込みを狙っている。ターゲットは老舗の三越だ。 長く不振が続いていた百貨店業界にも景気回復による消費の高まりで明るさが見え始め、高島屋に続き大丸も増配を決める中で、三越だけが減収減益を予想するなど「一人負け」の状態が続いている。高島屋などが大規模改修したり、阪急百貨店が九州に進出するなど、生き残りをかけて積極攻勢に出るのとは対照的に、三越は「仙台や札幌など地方店の低迷に歯止めがかからない」(同社幹部)状態。 こうした三越の窮状をみてイオンは「法改正で郊外への出店を制限されるなど新規出店が難しくなる中、街中に拠点を持つ三越を取り込めば少ない費用で拠点を広げられる」(イオン幹部)メリットから三越に接近。「イオンは金融業の展開も検討中で、三越のカード会員を取り込めることも魅力」(同)という。 村上ファンドも「都心部の一等地に店をもち、多額の含み益をもつ三越に食指を動かしている」(大手投資銀行幹部)とされることから、「三越は生き残りのためにイオンとの統合に前向き」(同)との指摘もある。

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