反対派の巻き返しを防げるか (C)時事
反対派の巻き返しを防げるか (C)時事

 昨年1年間で日本株を15兆円買い越した海外投資家の売りが続いている。日本取引所グループの集計では、1兆1090億円の売り越しだった1月に続いて、2月は829億円、3月は5806億円といずれも売り越しだった。ウクライナ情勢など海外市場が不安定化していることも一因だが、日本の下げの大きさが目立つ。モルガン・スタンレーMUFG証券日本担当チーフ・アナリストのロバート・フェルドマン氏は、海外投資家は安倍晋三首相が改革を具体化できるか疑念を持って見ていることが背景にあると繰り返し指摘している。つまり、日本が投資先として魅力的な国に本当に変われるかどうか、海外投資家はまだ確信が持てていないというわけだ。

 こうした外国人の姿勢は証券投資だけでなく、企業買収や日本への事業進出など「対内直接投資」にも表れている。対日直接投資の残高は17兆5000億円だが、GDP(国内総生産)に対する比率は3.9%に過ぎない。英国は49.8%、フランスは34.7%、米国は23.2%で、ドイツでも20.0%に達するから、まさにケタ違いなのだ。アベノミクスは、この17兆5000億円の対内投資残高を倍増させ35兆円にすることを目標に掲げているが、それでもまだまだ先進国並みとはいかない。外国の資本にとっては、「閉ざされた市場」あるいは「魅力のない市場」ということになるだろう。

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